八海とハニー
日光で療養中の直江を少しでも早く回復させるべく、八海は手厚い看護をしていた。
八海は特に食事にも気をつかって、直江に滋養のあるものを食べさせる為には手段を選ばなかった。そして配下の軒猿に命じてさまざまな食品が集められた。
――その中に問題の一品があった。
「直江様、どうぞお食べ下さい」
八海はスプーンで蜂蜜を口元へ運ぶが、直江は頑として口を開こうとはしない。それどころか、直江の眉間にはしわがよせられている。
「お気に召さないのは解りますが…ほんの少しでも構いませんから、食べて頂けませんか」
八海の言葉を無視して直江は口を開こうとはしない。
蜂蜜がぽたりと直江の口元へと垂れる。
直江の唇へ零れてしまった蜂蜜を八海は指でそっとぬぐい、そのまま唇をこじ開けるようにして指を口に含ませた。
「……っ!」
侵入してきた指を噛み、直江は八海を睨み付けた。冷えた眼差しが直江の無言の抗議を物語る。
だが、それでも八海は怯まない。
「困った方ですね……」
八海は蜂蜜をのせたスプーンを自分の口へと運んだ。
そして直江のあごを固定し、強引に口付けた。
嫌がる直江に口移しで蜂蜜を食べさせ、そのままゆっくりと時間をかけて直江の口内を蹂躪していく。
「……ご自分で食べられない様ですので仕方がありません。このビンの中身が空になるまで、私が毎回お手伝いさせて頂きます」
――こうして直江は蜂蜜の味を覚えたのであった…。
1998/5/23 作成
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